AIで実現するスモールステップ学習 ― 最適なAIを見つけるまでの試行錯誤
スモールステップ学習とは、大きな目標をいきなり達成しようとするのではなく、それを細かい「ステップ」に分解し、一つひとつ確実に積み重ねていく学習法です。特に教育の現場やリハビリテーション、介護支援など、段階的な成長が重要な分野で広く活用されています。
このスモールステップ学習を効果的に行うには、「知識を適切なサイズに分割する」ことが不可欠です。つまり、長くて複雑な情報を意味のある単位に細かく切り分け、それぞれを強化しながら前進していくことが求められます。
しかし実際のところ、この「知識の分割」はとても難しい作業です。対象となる知識は非常に膨大で、それをすべて人間の手で丁寧に分析・整理していくのは、時間も労力もかかりすぎます。これまでは、専門家が1つずつ分けて構造化するしかありませんでした。
そこで、「AIを活用できないか」という発想が生まれました。
最初は、1つのAIに任せれば済むだろうと考えて試してみました。しかし現実はそう甘くなく、思うような結果が得られません。出力はどこか曖昧で、文脈がうまく捉えられていなかったり、階層構造の判断が不自然だったりと、「スモールステップに最適な分割」とは言いがたいものでした。
そこで方針を変え、複数のAIを登録して、それぞれの特性を比較しながら試すことにしました。異なるモデル、異なるチューニング、異なるプロンプト……何通りも試行錯誤を重ねました。
そしてようやく、ある1つのAIに辿り着きました。このAIは、長文を的確に読み解き、論理的な構造を把握したうえで、自然なかたちで知識を階層化してくれました。まるで、人間のベテラン講師が情報を整理してくれているかのような精度です。
この成功からわかったことがあります。
それは、「AIにも得意・不得意がある」ということです。ヒトに個性があるように、AIにも能力差があり、特に“長文読解能力”には大きな違いがあるということを、身をもって実感しました。
これからの時代、「どのAIを使うか」ではなく「どのタスクに、どのAIが向いているか」を見極めることが、AI活用の鍵になると感じています。
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